ADR(腺腫検出率)

大腸カメラ検査、「どこで受けても同じ」だと思っていませんか?
クリニック選びの新常識「ADR(腺腫検出率)」とは

大腸カメラ検査を受けるとき、皆さんは何を基準にクリニックを選んでいるでしょうか。

「施設がきれい」「予約が取りやすい」「鎮静剤を使って眠っている間に終わる」どれも実際に大事なポイントだと思います。

ただ、こうした条件がそろっていても、実は検査そのものの”腕前”までは分かりません。

大腸カメラ検査ができるクリニックが年々増えている今だからこそ、知っておいてほしい言葉があります。それが「ADR (Adenoma Detected Rate: 腺腫検出率)」です。

大腸カメラ検査のクリニックをどこで選べばよいか悩む女性が、AI検索を通じてADR(腺腫検出率)という指標を知る4コマ漫画

ADR(腺腫検出率)とは?

腺腫検出率(ADR)のイメージ図

腺腫検出率は、大腸カメラ検査で、将来がんになるかもしれないポリープ(腺腫)をどれくらいきちんと見つけて取れているかを表す数字です。

名前は少し難しく聞こえるかもしれませんが、言っていることはシンプルです。「見つけなければいけないものを、ちゃんと見つけられているか」。それを数字にしたのが腺腫検出率です。

ADR(腺腫検出率)とは何か、なぜ重要なのか、クリニックを選ぶときのチェックポイントをまとめた4コマ漫画

なぜ腺腫検出率が重要なのか?
-アメリカのガイドラインでは35%が基準-

腺腫検出率に関する研究データのイメージ

『腺腫検出率の高い医師は患者の大腸がん発症を予防する』科学的根拠がある

  • 米国では 45 歳以上のスクリーニング・サーベイランスおよび診断内視鏡を対象にして 35%以上という 腺腫検出率 の基準値が推奨されている。
    Rex DK, Anderson JC, Butterly LF et al. Quality indicators for colonoscopy. Gastrointest Endosc 2024;100:352-81.
  • 腺腫検出率 が 20%以上の内視鏡医は 内視鏡検査後に発生する大腸がんのリスクが低い。
    Kaminski MF, Regula J, Kraszewska E et al. Quality indicators for colonoscopy and the risk of interval cancer. N Engl J Med 2010;362:1795-803.
  • 1 %の 腺腫検出率 上昇が3 %の大腸癌リスク低下につながる。
    Corley DA, Jensen CD, Marks AR et al. Adenoma detection rate and risk of colorectal cancer and death. N Engl J Med 2014;370:1298-306.

大腸カメラは一大イベント

大腸カメラ検査前の準備のイメージ

大腸カメラ検査は、そう何度も気軽に受けられるものではありません。前日から食事を制限し、下剤を飲み、丸1日近くの時間を確保する。ここまでして、ようやく受けられる検査です。

そこまでするのであれば、取るべきポリープはしっかり取ってほしい。多くの方がそう思うのではないでしょうか。一方で、余計な負担はできれば避けたい、というのも正直な気持ちだと思います。

取るべきポリープを、取るべきときに

切除すべきポリープを見極めるイメージ

大腸にできるポリープには、放っておいて問題のないものと、そのままにしておくと将来がんになる「腺腫」があります。

質の高い大腸カメラ検査というのは、なんでもかんでもポリープを切除することではありません。取らなくていいポリープは無理に取らず、取るべき腺腫だけを確実に見つけて取ること。この見極めの正確さが、腺腫検出率という数字に表れます。

腺腫検出率はいわば医師の成績表

腺腫検出率という検査の質を確認するイメージ

腺腫検出率が高いということは、それだけ多くの腺腫を見逃さずに見つけて、きちんと切除できているということです。つまり腺腫検出率が高い医師ほど、患者さんの将来のがんリスクを、より確実に減らせる医師だといえます。

腺腫検出率を公表しているクリニックは、それだけ検査の質に自信を持っているということでもあります。クリニックを選ぶときは、「腺腫検出率を公開しているかどうか」も、ぜひ一つの目安にしてみてください。

当院の腺腫検出率は実際どうなのか

期間 腺腫検出率(ADR)
2024年1月〜12月 43.9%
2025年1月〜12月 49.2%
2026年1月〜7月 41.9%

この約2年半での平均腺腫検出率は、45%で、アメリカの基準より高い結果でした。

ADR(腺腫検出率)を高めるために、当院が取り組んでいること

  • 画像診断と病理診断をすり合わせる(内視鏡医の日々の自己研鑽)

    内視鏡画像と病理診断を照合するイメージ

    内視鏡の画像を見て「これは腺腫かどうか」を判断する精度を上げるために、実際に切除した組織を調べた病理診断の結果と、検査中に見た画像とを一つひとつ照らし合わせています。地味な作業ですが、この積み重ねが判断力を磨いてくれます。大腸カメラ検査を受けてくださる患者さん一人一人から日々勉強させていただいていることに感謝して検査に望んでいます。

  • 拡大内視鏡による、より細かい観察(画像強調観察)の併用

    拡大内視鏡(NBI)による精密観察のイメージ

    NBI(狭帯域光観察)という機能を使い、拡大内視鏡を使用して病変を拡大して観察することで、肉眼だけでは判断しにくい病変についても、切除すべきかどうかをより正確に見極めることができます。当院ではオリンパス社の最新機種「EVIS X1」を導入し、この拡大観察を行っています。

  • AIにも手伝ってもらっています(EndoBRAIN-Eye/EndoBRAIN-X)

    AI支援内視鏡診断のイメージ

    2024 年のメタアナリシスでは,AI 支援による大腸内視鏡検査は従来の内視鏡検査と比較して 腺腫検出率 を 20%向上させることが示されました。
    Makar J, Abdelmalak J, Con D et al. Use of artificial intelligence improves colonoscopy performance in adenoma detection : a systematic review and meta-analysis. Gastrointestinal Endoscopy 2025;101:68-81.e8.

当院では内視鏡画像診断を支援するAIソフト「EndoBRAIN-Eye」に加えて、「EndoBRAIN-X」も導入しています(EndoBRAIN-X は広島県のクリニックでは初めての導入です)。医師の目に加えてAIの目も入ることで、小さな病変の見落としをより減らせるようにしています。とはいえ、最終的にどう判断し、どう治療するかを決めるのは、あくまで経験を積んだ医師自身です。

特別な魔法があるわけではなく、日々の学び直しと、それを支える設備への投資。この両方が積み重なって、今の結果につながっています。

院長が考える「質の高い大腸カメラ検査」とは

Q
質の高い大腸カメラ検査とは、どんな検査だと思いますか?
A
取るべきポリープを、きちんと取ってあげられる検査だと思います。言い換えると、がんになる前の段階で、しっかり取り除いてあげられるということです。
Q
検査施設を選ぶとき、他にも見ておいたほうがいいポイントはありますか?
A
出血や穿孔といった合併症が起きていないかどうかも大事な点です。私自身これまでに幸いにも穿孔を起こしたことはありません。怖い思いをせずに検査を終えられるかどうかも、技術力を測る一つの目安になります。ポリープを切除した方には、その後の食事や生活の注意点をまとめた案内もお渡ししています。
Q
担当する医師によって、検査の質にばらつきは出るものなのでしょうか?
A
正直にお答えすると、内視鏡検査の技術は、担当する医師によって差が出るのが実情です。だからこそ当院では、大腸カメラ検査を非常勤の医師に任せることはせず、私自身がすべて担当しています。「誰が担当しても同じ質にする」のではなく、「経験を積んだ医師が担当することで質を守る」。そういう考え方でやっています。

大腸がん予防のために、患者さんへ伝えたいこと

大腸がん予防のために検査を検討するイメージ

まずは検査を受けてみてください。大腸がんは、早く見つければ防げるがんです。

がんになりうるポリープ(腺腫)が見つかったら、その場で取ってもらいましょう。

ポリープを放っておくとどうなるか、ご存じでしょうか。多くの大腸がんは、こうしたポリープが時間をかけてがんに変わることで起こります。

「検査を受けるなら、なるべくポリープが見つかる病院で!!」ということで、検査するクリニックを迷っている方は当院もぜひご検討ください。

大腸がんを予防して、一緒に未来を変えましょう!!

クリニック選びがとても重要です

専門医による診察

大腸カメラ検査を受けられる場所は、これからも増えていくと思います。だからこそ、何を基準に選ぶかが、これまで以上に大事になってきます。

施設のきれいさや快適さも、もちろん大切です。ただ、それだけでは分からない”検査の正確さ”という部分があることも、知っておいていただけたら嬉しいです。腺腫検出率という数字は、その一つの手がかりになります。

医師・スタッフ紹介はこちら

中川外科胃腸科・肛門科監修者情報

監修・執筆

中川外科胃腸科・肛門科 中川了輔

日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医
日本大腸肛門病学会認定施設・広島県大腸がん医療ネットワーク スクリーニング内視鏡認定施設

当院は、電話もしくはインターネットでのご予約を承っております。

診療時間 9:00 〜 12:00 / 15:00 〜 17:30
※最終受付は、診療時間終了30分前まで
休診日 水曜、日曜、祝日