血便
血便とは
血便とは胃や大腸、肛門などの消化器からの出血が肛門より排出される状態のことです。血便に気づくきっかけの多くは「トイレ時」または「便潜血検査」です。血便といっても、種類は様々で原因も患者様によって異なります。血便の状況は。問診させていただければ、どこから出血しているのかの大体の察しはつきますので、緊急性を要するものかを判断するためにも、お早目に消化器内科を受診することが大切です。
血便を放置したら・・・
忙しさから病院に行く時間が取れず、排便時に血便が出ても「我慢すれば大丈夫」と放置してしまう方が一定数いらっしゃいます。しかし、血便を放置することは非常に危険です。
大腸がんは一般的に進行が遅い病気です。早期に大腸カメラ検査を受けてがんが発見され、大腸カメラで除去できて粘膜内にとどまる大腸がんならばリンパ節への転移率は0%であり、5年後の生存率は100%です。
がんが進行して粘膜より深い層に達すると・・・
転移率が上昇し外科的手術が必要になることがあります。がんが粘膜にとどまっているかどうかが、その後の5年間の生存率に大きな影響を与えることを多くの方がご存じありません。当クリニックでは、日帰り手術が可能な段階で大腸がんが発見された場合、5年後も元気に生きている可能性が非常に高いことを患者様にお伝えしています。血便は身体からの重要なサインですので、見逃さずに早期に対応することをお勧めします。
血便の原因は?
血便の原因は様々で、便の色や血の混じり方によって考えられる疾患が異なります。
主な原因として以下が挙げられます。
血便と関連のある疾患
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痔(内・外痔核(いぼ痔)
裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔))便の表面にポタポタと落ちるような鮮血がついている場合やふいた紙に血が付いている場合、肛門の出口付近で血液がついた可能性が高く、主に痔が原因と考えられます。内痔核(いぼ痔)は痛みを伴わないことが多いですが、切れ痔や痔瘻は排便時に痛みを感じることが一般的です。
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大腸ポリープ・大腸がん
便に血が混じっている場合、大腸ポリープや大腸がんの可能性があります。大腸がんは特に注意が必要で、早期発見・治療が重要です。
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潰瘍性大腸炎
下痢に血が混じる場合、潰瘍性大腸炎の可能性が考えられます。この疾患は大腸の粘膜に潰瘍ができることで、血便が見られることがあります。早期の医療機関受診が推奨されます。
20代を中心とした比較的若年者に多いですが、高齢者も発症することもあり、虫垂(ちゅうすい)切除した人は発症リスクが低いことや喫煙する人はしない人と比べて発病しにくいことが報告されています。 -
虚血性大腸炎
腹痛を伴う血便の場合、虚血性大腸炎が考えられます。これは、大腸の血流が一時的に低下することで炎症が起こり、血便が現れる病態です。
「便秘になりがちな高齢の女性」、動脈硬化など生活習慣病のある方ぶ比較的起こりやすいと言われています。 -
憩室出血
憩室とは大腸の壁にある小さな袋状の構造物です。ここから出血することがあり、特に腹痛がない状態で血便が見られる場合、憩室出血が疑われます。
近年血液サラサラ薬を内服する方が多くなって増加傾向にあり、男性や高齢者に多い傾向が報告されています。
※胃など上部消化管からの出血の場合は「タール便」と呼ばれる「イカ墨」のような真っ黒い便が出るのが特徴です。
その場合は、緊急で胃カメラが必要な場合があります。多くは胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどが原因のことがあります。
女性で血便が出た方へ

特に女性で「いぼ痔だと思っていたら直腸がんだった」というケースが多いです。女性は出産を経験すると、高確率でいぼ痔ができます。なので、血便でご来院される方には出産をご経験されているかどうかも必ずお聞きします。紙につく程度の出血であれば、「あの時の出血と同じだ」と放っておく方も多いと思いますが、年齢とともにがんのリスク発生頻度は増加していくので注意が必要です。
血便が出た時の対処法
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血便に気づいたとき、写真は撮っておくべき?
どちらでも大丈夫です。ただ写真があればより正確な診断を行えます。やはり当院にお越しくださる方は、血便が出た直後や翌日とは限らず、出血が収まった段階で来られる方が多いです。
ぽたぽたと血がたれている状況なのか、血がべっとりと便に乗っている状態なのか、など観察と記録の詳細が分かるだけでとても有益な情報になりますのでぜひ写真を撮っていただいた場合はお見せください。 -
市販薬はアリ?
血便が出た際、薬局に売っている薬で対処する方が多いですが、悪くはありません。それで止まれば良いですが、止まらない場合は必ず専門医に受診した方が良いです。
「血便がでたらすぐに来てください」というのがホンネですが、数日間市販薬を塗っても治まらない出血の場合はぜひ当院に来てもらいたいなと考えております。実際、「市販薬でも治らなかったから」、「ほかのクリニックで出た薬を飲んだ(塗った)けど治らなかったから来ました」という患者様は多くおられます。
診察と検査の流れ
自覚症状で来院された方へ
自覚症状がある患者様には、まず指診と肛門鏡検査を行い、血便の状態を確認します。診断の流れは次のとおりです。
- 切れ痔の場合
便の表面に傷があるため、即座に診断が可能です。 - その他のケース
診察時に便を採取(肛門鏡を用い、便をつまみます)させていただき、その場で10分程度で便潜血の有無を確認できます。血が混じっている場合は、早急に大腸カメラ検査の予約を行います。(状況により当日浣腸のみで検査も行っています。)便潜血検査で血が検出されない場合、患者様のライフサイクルに合わせて大腸カメラ検査の日程を調整いたします。また検査後、原因に応じた治療を進めていきます。
健康診断で便潜血陽性の方へ
健康診断などで便潜血陽性が確認された場合、大腸がんや大腸ポリープのリスクがあるため、大腸カメラ検査の受診を強くお勧めいたします。
当院の特長

即日検査が可能
当院では、緊急性がある患者様に対し、即日検査が可能です。「肛門鏡」という機器を使用し、カメラで肛門内を詳しく調べることで、便の異常を迅速に判断します。外見上、血が見えなくても、診察中に便潜血検査を行うことで、当日に検査結果が得られます。また、当院では止血困難な出血性病変や輸血が必要な場合は、緊急搬送を手配することもございます。緊急性が低い場合は、下剤を使用し、後日大腸カメラ検査を受けていただくことで、より精密に原因を探ることをお勧めします。

他の消化器内科との違い
当院は、消化器内科および内視鏡の専門医であると同時に大腸肛門病専門医でもあるので肛門の診察も得意としております。そのため、「肛門からの出血」も的確に診断することが可能です。血便の原因はポリープや大腸がんではなく、痔であることが多く、実際、大腸カメラ検査で異常が見つからないケースも少なくありません。だからこそ、血便が気になる場合は、肛門の診察ができる専門医に相談することが重要です。
当院にご相談ください
肛門の診察に抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、「いぼ痔だと思って放置していたら、実は直腸がんだった」というケースも少なからず存在します。一度でも血便が気になる場合、自己判断に頼らず、専門医に診てもらうことを強くお勧めします。当院では、痔の診察や大腸カメラ検査を通じて、患者様に最適な治療を提供いたします。血便の原因が痔である可能性が高い場合でも、肛門科の専門医がいる当院での検査・診察をぜひご検討ください。
よくある質問
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Q
心配いらない血便ってあるの?
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Aあります。大腸カメラ検査を待っても良いのか、もしくはすぐにでも行うべきなのかをみるためには診察をしてみないと判断できません。指診や肛門鏡検査で行う即日便潜血検査で判断できます。
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Q
便が黒っぽいんですけど・・・
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A胃など上部消化管からの出血の場合は「タール便」と呼ばれる「イカ墨」のような真っ黒い便が出るのが特徴です。その場合は、緊急で胃カメラが必要な場合があります。多くは胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどが原因のことがあります。
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Q
かなり前に便潜血陽性になりました。今更気になっているのですが診ていただけますか・・・
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Aもちろんです。便潜血検査は、目には見えない便の中に血が混じっているかどうかを確認できる重要な検査です。もし便潜血検査で陽性が出た場合、大腸がんの可能性も考えられますので、早めにクリニックを受診することが大切です。お時間のある際に、ぜひご来院ください。
血便でお悩みの方は当院まで

当院は日本大腸肛門病学会認定施設です。消化器内科・大腸肛門病および内視鏡の専門医がおり、血便の原因についても高い専門性を持っています。血便が肛門周辺からの出血によるものなのか、それとも大腸やその他の消化管からの出血なのかを、診察や必要な検査を通じて的確に判断することが可能です。
血便の原因には、痔や裂肛といった肛門疾患のほか、大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患(IBD)など、重大な疾患が隠れていることもあります。血便が見られた際、また便潜血検査で陽性が出た方は、自己判断せずに、専門医による適切な診察と検査を受けることが非常に重要です。血便でお悩みの方は、ぜひ当院へお越しください。消化器内科専門医が丁寧に診断いたします。当院のご予約は、24時間いつでもWEBで簡単にお申し込みいただけます。ぜひご活用ください。
当院は、電話もしくはインターネットでのご予約を承っております。
診療時間 9:00 〜 13:00 / 15:00 〜 18:00
※最終受付は、診療時間終了30分前まで
休診日 水曜、日曜、祝日