腹痛

腹痛とは

腹痛でお腹を押さえる女性

腹痛は、多くの人々が日常的に経験する一般的な症状です。しかし、その性質や原因は実に多様で、個々の患者によって大きく異なります。急性の激しい痛みから慢性的に続く不快感まで、「腹痛」という言葉が表す範囲は非常に広く、腹痛の原因は、消化器系の問題だけにとどまりません。

こんな腹痛は要注意!病院に行く目安は?

腹痛で診察を受ける患者
  1. できるだけ早くに受診した方がいい腹痛
  2. 様子を見ても大丈夫な腹痛
  3. 急激なダイエットに伴う腹痛が起こる上腸間膜症候群

腹痛と一言でいっても、その原因や症状の重さはさまざまです。中には早急な受診が必要なケースや、様子を見ても問題ないケースもあります。また、無理なダイエットが原因で発症することがある「上腸間膜症候群」のように、特定の状況下で起こりやすい腹痛も存在します。
適切な対応を知ることで、大切な健康を守りましょう。

①できるだけ早くに受診した方がいい腹痛

  • 吐き気が伴う、
    ガスが半日出ない

    腹痛と同時に嘔吐してしまう方やガスが出なくなった方は、腸閉塞の可能性が高いので、お早めに消化器専門クリニックをご受診されることをお勧めします。腸閉塞とは、食べ物、異物や炎症、腫瘍(がん)などの何らかが原因で、腸の内容物が肛門側に流れなくなる疾患で、放置すると死に至る危険性があります。

  • 発熱が伴う

    バクテリアルトランスロケーション(Bacterial translocation)と言い、腸内細菌が血液の中に流入してしまい、敗血症や菌血症という全身に腸内細菌が回ることで発熱が起きる場合があります。このように発熱を伴う腹痛の場合は、感染症や重篤な腸閉塞である可能性が高いです。

  • 動けないほど痛い

    ご自身で医療機関に行けない程の腹痛は、緊急性を要する疾患である可能性が高いため、我慢せずにすぐ病院へ行くことをおすすめいたします。

  • 過去に腹部手術を受けたことがある方

    過去に何らかの腹部手術を受けたことがある方は、腸閉塞になるリスクが高いため、腹痛が続く場合は、早急な受診を推奨いたします。

②様子を見ても大丈夫な腹痛

  • トイレにいくと治まる腹痛であれば、
    一旦様子を見ても大丈夫です。

    ただし、何度もトイレに行くのに、腹痛が続き発熱、下血があるよう場合は、何らかの疾患が隠れている可能性がありますので、消化器専門クリニックにご受診いただければと思います。

  • ストレス性

    ストレスによる腹痛も多く見られます。たとえば、大事な発表前や学校に行く前にお腹が痛くなるなどが一例です。もしも、症状によって日常生活に支障が出る場合は、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアの可能性がございますので、一度専門的な診断を受けることが望ましいです。

③急激なダイエットに伴う腹痛が起こる上腸間膜症候群

食後の胃もたれや、吐き気、腹痛などのため胃カメラなどの検査を行っても異常がない比較的若い方に症状が見られることがあります。特に昨今ボディイメージが注目されており、若い方で極端なダイエットが原因で起こる疾患です。

十二指腸から空腸への移行部は、前方から上腸間膜動脈に、後方から腹部大動脈に挟まれた位置にあります。これらの血管による締め付けが強くなると腸閉塞症状をおこし、急性の場合には、食後の腹部膨満、嘔吐などをきたし、慢性の場合には、間欠性腹痛を起こします。症状は、食後に悪化します。

体位によってこの上腸間膜動脈の締めつけ力が弱くなるので症状が変化するのが特徴で、上向きより、座ったり、腹ばいで症状が軽快します。

この部位は、通常は、脂肪組織やリンパ組織のクッションによって守られていますが、 急激な体重減少に伴って、上腸間膜動脈周辺の脂肪組織のクッションがなくなると、前後方から締めつけられることによって、腸閉塞を起こることで吐き気や腹痛を誘発します。
診察で体脂肪率を検査したり、最終的にCT撮影をして診断に至ります。

腹痛の主な原因・考えられる疾患

腹痛の原因として考えられる疾患はさまざまです。お腹の病気、またはお腹以外の病気に分けて考えることができます。当院では受診当日に採血検査、腹部レントゲン、エコー検査、胃カメラ(状況により大腸カメラ)検査が可能です。緊急性の治療が必要な場合は連携施設へご紹介可能です。

腹痛を起こす「おなか」の病気

  • お腹の上側が痛む場合
    (みぞおちからおへその上あたり)

    逆流性食道炎・急性膵炎・胃・十二指腸潰瘍・盲腸(初期)・胆のう炎・ピロリ菌感染・アニサキス感染・心筋梗塞・がんなどの悪性腫瘍・急性肝炎・機能性ディスペプシア など

  • お腹の下側が痛む場合
    (おへその下あたり)

    尿路結石・感染性胃腸炎・過敏性腸症候群・膀胱炎・盲腸(初期以降)・がん・憩室炎・鼠径ヘルニア・憩室炎・鼠径ヘルニア・臍ヘルニア など

  • 機能的なお腹の痛み
    (ストレスによる腹痛)

    消化管の運動は交感神経と副交感神経(自律神経)のバランスで調整しています。そのため、自律神経がうまくコントロールできず起こる腹痛もあります。この場合、エコー検査や胃カメラ検査、大腸カメラ検査を通して何も疾患名がつけられなかった場合、自律神経の調節障害や心因的なことが原因の腹痛であることが考えられます。

腹痛を起こす「おなか以外」の病気

当院は、消化器専門医が腹部エコー検査を行います。実際、当院にご来院いただいた患者様の中には、胃腸の不調だけでなく、循環器(心臓血管)系や婦人科系の疾患や泌尿器系の問題を抱えている方もいらっしゃいます。そのため、腹部エコー検査を通じて、消化器疾患以外の病状も把握することが可能です。検査結果に基づいて必要に応じて他の専門医療機関をご紹介し、患者様が安心して治療を受けられる体制を整えています。

  • 循環器系/ 不整脈・狭心症・心筋梗塞・大動脈解離・大動脈瘤など
  • 婦人科系 / 妊娠初期・超初期の腹痛・クラミジア等の性感染症(PID)・卵巣のう腫・月経
  • 熱中症に伴う腹痛
  • 迷走神経反射と腹痛

腹痛の診察の流れ

  1. Flow01

    問診・聴診・触診

    問診でお聞きする腹痛の原因を知るための大切な情報

    • 直近で食べたもの
    • 周りの人で腹痛を起こしている人がいるか
    • お通じの状態
    • 腹痛に伴い、吐いたか、吐いていないか
    • 痛みに、波があるのか、一定して痛いのか
    • 市販薬を飲んでいるか、またその効果
    • 直近で胃カメラ検査・大腸カメラ検査をしたかどうか
  2. Flow02

    エコー検査

    エコー検査では、腹部臓器の状態や腫れ、炎症、腹水などの異常を確認します。腸管の動きや血流の異常を調べ、必要に応じてCTや造影検査を追加することもあります。
    ※必要があればレントゲン、便潜血検査、便培養検査、採血、を行います。

  3. Flow03

    大腸カメラ検査

    大腸カメラ検査は、腸内の炎症、ポリープ、腫瘍など腹痛の原因を詳細に調べる検査です。検査中に必要なら組織採取を行い、出血や潰瘍の有無も確認します。

腹痛に用いる市販薬に関して

市販の整腸剤を使用する際には注意が必要です。整腸剤(=ビオフェルミンなど、腸内フローラのバランスを整えることで、ゆっくり穏やかに症状を改善する薬)は服用していただいて大丈夫ですが、腸の動きを止める下痢止めなどの薬は、感染症による腹痛の場合危険性がございます。
特に、ご高齢の方など免疫力が強くない方は、服用した薬で命取りになることがございます。
また、通常は腸の動きに伴う痛みには鎮痛剤(NSAIDsやアセトアミノフェン、イブプロフェンなど)は効果は期待できないとされています。
そのため、市販薬を飲んだ際はしっかりと経過観察を行い、状態が改善しない場合には、すぐに病院を受診することが勧められます。

腹痛でお悩みの方は当院まで

広島市内の消化器内科クリニック

当院は、口から肛門までの消化管、肝臓、膵臓や胆のうを含めた消化器内科の全般をカバーできる専門医が診断・治療することができます。また、当院では「納得のいく、診療を」をモットーに、エコー機器や内視鏡システムにおいて最新鋭の検査機器を取り揃えており、患者様の症状や生活スタイルに合わせた、きめ細やかな診療を心がけています。不安な症状がございましたら、お気軽にご相談いただければと思います。

監修:中川外科胃腸科

よくある質問

Q
大腸がんのときのお腹の痛みはどんな感じですか?
A
大腸がんにおいては、お腹に痛みを感じない場合もあります。右側のお尻から遠くに痛みを感じる方は、腸閉塞を伴う大腸がんの可能性があります。一方、左側のお尻に近い部分では、腹痛よりも血便の症状が現れることが多いです。実際、大腸がんは発症する部位によって症状が出にくく、気づかれにくいことがあります。そのため、定期的に大腸カメラ検査を受けることが非常に重要です。
Q
腹痛が何日続いたら病院?
A
人それぞれではありますが、基準として丸一日腹痛が続く場合、寝られないほど痛い場合は、消化器専門クリニックへのご受診をおすすめいたします。

当院は、電話もしくはインターネットでのご予約を承っております。

診療時間 9:00 〜 13:00 / 15:00 〜 18:00
※最終受付は、診療時間終了30分前まで
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