ピロリ菌
下記のような状況に該当する方はピロリ菌の感染可能性があります
- 井戸水を利用した経験がある
- 家庭内や身近な人にピロリ菌感染者がいる
- 過去にピロリ菌に感染しており、除菌治療をしたことがある
- 胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍と診断された家族がいる
- 上下水道の整備が十分でない国や地域への滞在歴、渡航歴がある方
- 過去にピロリ菌陽性と言われたまま放っている
- 昔から胃の調子が悪い
- 人間ドック、ABC検診で慢性胃炎やピロリ感染の疑いを指摘された
- バリウム検査で異常を指摘された
これらに該当する方はピロリ菌に感染している可能性があります。
体に症状が現れる前に病院へ検査にいくことをお勧めいたします。
ピロリ菌とは
ピロリ菌とは、胃の粘膜に生息している細菌で、正式には「ヘリコバクター・ピロリ」と呼ばれます。
胃の強酸環境の中でも生き残ることができるこの菌は、特別な酵素「ウレアーゼ」を使って胃酸を中和し、アルカリ性の環境を作り出すことで、胃の中で生活しています。
感染経路は主に口からであると考えられており、特に清潔な環境が整っていない子供時代に感染することが多いです。
ピロリ菌の感染、考えられる要因
ピロリ菌の要因として、「ストレスのせい」や「遺伝なのではないか」と言われていますが、実は全く関係はありません。
ピロリ菌は感染症の一種であるため、主に家族内での感染が主な経路とされています。
特に、胃が発達していない5歳までは、胃酸分泌がまだ十分でないため、細菌が生存しやすく感染確率が高いとされています。
それ以降は、胃酸の分泌が成人に近づくため、新たに感染するケースは非常に少なくなりますが、ピロリ菌の感染は主に家庭内での接触によるものであり、早期の衛生対策が重要とされています。
ピロリ菌を放置すると
ピロリ菌に感染すると、胃炎や胃潰瘍などの疾病を引き起こすリスクが高まりますが、初期の段階では症状を感じないことがほとんどです。 感染が進むと、胃の内壁を傷つけ、さまざまな消化器系の問題を引き起こす可能性がありますので、ピロリ菌の感染が疑われる場合は、早期の診断と治療が重要です。 下記は、ピロリ菌と関連がある代表的な疾患の一例です。
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胃がんとピロリ菌
老化現象の終点に発がんがあります。ピロリ菌はいわゆる胃の老化現象が早く進んでしまうので、がんが起こりやすくなってしまう危険性があります。
そのため、ピロリ菌を保持したままにしてしまうといわゆる萎縮性胃炎が進み、結果として発がんの可能性が上がってしまいます。 -
胃MALTリンパ腫とピロリ菌
マルトリンパ腫(MALTリンパ腫)とは、粘膜関連リンパ組織に発生する低悪性度のリンパ腫で、主に消化管や扁桃、甲状腺、肺、唾液腺に見られます。
特に、消化管に発生するマルトリンパ腫の約80〜90%が胃に集中しています。
このリンパ腫は比較的進行が遅く、通常は生命を脅かす状況を引き起こすことは少なく、治療反応も良好ですが、悪性リンパ腫に進展することもあるため注意が必要です。
胃マルトリンパ腫は症状が現れにくく、内視鏡検査で初めて発見されることが多いですが、胸やけや腹痛、不快感、倦怠感などがまれに見られます。
興味深いことに、胃のマルトリンパ腫患者の約90%がピロリ菌に感染しており、除菌により治癒することがほとんどです。
ピロリ菌の検査方法
ピロリ菌に感染しているかどうかを検査する方法は大きく分けて二つあります。「内視鏡を使用した方法」と「内視鏡を使用しない方法」です。保険でピロリ菌検査をするためには、胃カメラ検査(=内視鏡検査)を受ける必要があるため、当院では基本的には胃カメラ検査を行います。しかし、PPIと呼ばれる胃酸を抑えるお薬を飲んでいると、迅速ウレアーゼ試験で陰性が出てしまうことが多いので、そういった方は事前に抗体検査をさせていただき、胃カメラ検査を行います。また、除菌した後の効果測定では、尿素呼気試験を行います。
<内視鏡を使用する検査方法>
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迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌が持っているウレアーゼという、尿素を分解する酵素の活用を利用して調べる方法です。胃粘膜にピロリ菌が存在する場合には、ウレアーゼにより尿素が分解されてアンモニアが発生します。これを、指示薬の色調変化で確認します。
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組織鏡検法
胃の粘膜の組織標本に特殊な染色をしてピロリ菌を顕微鏡で探す組織診断方法です。
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培養法
胃の粘膜を採取してすりつぶし、それをピロリ菌の発育環境下で5~7日分離培養して判定します。この検査は菌株を純培養し入手できる点が優れており、この菌株を他の検査にそのまま使用することができます。
*胃カメラ検査の場合は、当日の予約に空きがございましたら、当日の内視鏡検査を受けていただくことも可能です。
(注意事項を必ず確認してください)
<内視鏡を使用しない検査方法>
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抗体測定
人はピロリ菌に感染すると、抵抗力として菌に対抗する抗体を作ります。血液中や尿中などに存在するこの抗体の有無を調べる方法です。血液や尿などを用いて、その抗体を測定する方法です。
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尿素呼気試験
診断薬を服用し、服用前後の呼気を集めて診断する、簡単に行える精度の高い診断方法で主流の検査法の一つです。
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糞便抗原測定
糞便中のピロリ菌の抗原の有無を採取して調べる手法です。
〈保険適応となる疾患〉
- 内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者さん
- 胃MALTリンパ腫の患者さん
- 特発性血小板減少性紫斑病の患者さん
- 早期胃がんに対する内視鏡的治療後の患者さん
- 胃カメラ検査において慢性胃炎の確定診断がなされた患者さん(半年以内に胃カメラ検査を受けていることも含む)
〈自費診療〉
上記に該当しない方は全額自己負担となりますのでご了承ください。
ピロリ菌の治療(除菌治療)
ピロリ菌の除菌治療は1回で成功しないこともあり、2回まで保険適用で受けられるようになっています。
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1.一次除菌
ピロリ菌を除菌する治療は胃酸を抑える薬と抗生物質2種類の組み合わせで、朝と晩2回、7日間内服します。
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2.除菌判定
その後、短くても5週間空けて再度ピロリ菌の検査(主に呼気検査)をおこない、除菌できたかどうかを判定します。
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3.二次除菌
一次除菌でピロリ菌が消えなかった場合は、もう一度7日間、抗生物質の種類を変えて薬を服用します。服用後、短くとも5週間空けて効果判定をおこないます。
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4.三次除菌
もし除菌できなかった場合、更に抗生物質の組み合わせを変えておこなう場合もありますが、この場合は健康保険が使えず、全額自己負担となります。
除菌の際の注意点
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薬の抗生物質のアレルギーが
起きてしまう場合薬のアレルギーが出た場合、治療を一度中断いたします。ピロリ菌を保持しているから絶対に胃がんになる、胃潰瘍になる、というわけではありません。また、ピロリ菌を除菌しても100%胃がん予防ができているわけではないので、定期的な胃がん検診をお受けいただく方が確実に早期予防できます。年に1回を目安にご受診ください。
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途中で治療をやめてしまうと
抗生物質の血中濃度を一定に保つことで、ピロリ菌は除菌ができます。途中で治療をやめてしまうと、抗生物質の血中濃度が途切れてしまうので除菌の効果が落ちます。せっかく胃カメラ検査でピロリ菌を保持していることが分かったのに、治療ができなかったらもったいないです。そのため、当院では服薬できない日ができそうな旅行や飲み会などできるだけイベントがないタイミングで除菌を開始することをおすすめしております。
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除菌中に食べてはいけないもの
特にないですが、アルコールは除菌率を下げると言われているため、除菌中はアルコールは控えた方がいいでしょう。
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考えられる副作用
抗生物質を服用すると、腸内細菌のバランスが崩れます。それにより、下痢などおなかの調子が悪くなることがありますので、当院ではあらかじめビオフェルミンR(整腸剤)をお出ししております。
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除菌治療中の仕事や
日常生活への影響は?通常の生活は可能ですが、薬のタイミングを守ることが重要です。また、副作用として軽い胃部不快感や下痢が出ることもありますありますので、無理のない生活をご了承ください。
当院のピロリ菌検査・除菌
当院では、初回の問診時に患者さまのピロリ菌感染の可能性を判断します。感染が疑われる場合は、予約に空きがあれば、その日のうちに胃カメラ検査を受けていただくことが可能です。これにより、ピロリ菌感染の有無を迅速に確認でき、すぐに治療を開始できます。
ピロリ菌に感染している可能性がある方は当院へ
ピロリ菌に感染すると、胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍といった深刻な病気のリスクが増加します。そのため、放置することは非常に危険です。また、ピロリ菌は親から子へと感染しやすく、放っておくと、免疫力が低いお子さまにも影響を与える可能性が高まります。「昔、もしくは今も井戸水を飲んでいる」「自分がピロリ菌に感染しているか知りたい」とお考えの方は、ぜひ当院にご相談ください。当院は24時間のweb予約が可能ですので、診察を希望される方は、下記URLからご予約を取得できます。
当院は、電話もしくはインターネットでのご予約を承っております。
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